お散歩道10か条解題

ホーム> お散歩道10か条> お散歩道10か条解題

1、散歩に始まり、散歩に終わる

お散歩道は、しつけのお稽古ではありません。実践です。
世の中には、お稽古のような訓練教室・しつけ教室もあるようですが、お散歩道は、とことん実践的です。とは言え、座学の時間も多いのですが・・・(*^_^*)
合理的です。動物行動学・行動心理学・オペラント技法を使って、大変合理的なしつけができます。
効率的です。 余分な手間が省け、どんどん前へ進めます。
効果的です。目に見えて成果が上がります。あなたの目の前で、どんどん愛犬が変わっていくのを目撃できます。「なんかツボでも押したんですか?」と言った人がおりましたが、そんなツボはありません。ただ、犬に対して正確な行動をとるだけでよいのです。

訓練至上主義を排して、人と犬の生活の在り方を考え、犬と社会との望ましい関係を作り上げます。人と犬との生活が、ストレスなく、円滑に、そして楽しく暮らせること、これが一番大切なことでしょう。
人の犬に対する態度がきちんとしていれば、多くの問題行動の解決はもとより「スワレ」「フセ」「ツケ」「マテ」「コイ」等の訓練の基礎は、通りすがりにやってしまうことができます。 

多くの家庭犬は服従訓練大会やドッグ・ショーに出場するわけではありません。 日々のお散歩実践・家庭生活にとって、最も必要な事柄を身につけましょう。

2、群れの移動だ、お散歩は

散歩とは、いわば群れの移動です。
群れの移動である以上、群れのメンバーはアルファ個体(リーダー)につき従わなければなりません。
出かける時間も、行先も、移動時間も、すべて飼い主が決めるのです。行くか行かないかも含めて、飼い主が決めるのです。
特に、犬を飼い始めた初期には、毎日散歩に行ってはいけません!
人生いろいろなことが起こるのですから、必ずしも毎日散歩に出ることができない場合もあります。
 毎日の散歩を癖にしてしまうと、散歩に行かないことが犬にとってストレスになってしまします。
散歩は必ずしも毎日行くものではないこと、 時間になったら散歩に出るものではないことを、犬が理解すれば、人も犬もストレスから解放されるのです。

3、移動の責任、飼い主に

群れの移動(お散歩)の責任は、すべて飼い主が取るべきです。
なぜなら、人間社会に暮らす以上、犬にはその責任を取りようがないからですね。
飼い主は群れのアルファ個体として、群れの移動における安全と快適さを 常に維持しなければなりません。
犬は元々「群れる」生き物であり、社会的序列(ヒエラルキー)を構成する生き物です。群れのアルファ個体の指揮・指導のもとで、群れの秩序は維持されるのです。
飼い主がリーダーシップをとって群れの秩序を維持している限り、犬は安心していられます。
ところが、飼い主が充分なリーダーシップを発揮しきれないと、犬はとても不安になるのです。
そうして不安になった犬は、とれるはずもないリーダーシップをとろうと努力した挙句、反社会的な問題行動(言うことを聞かない・咬む・吠える等)を起こしてしまうことにもなりかねません。
本来、癒しを得るはずの犬との暮らしが、人にとっても犬にとってもストレスになってしまったのでは、本末転倒でしょう。
また、問題行動が原因で、捨てられたり、殺処分されたりしたのでは、犬もたまりません。犬だって、かけがえのない命を精一杯生きているのです。
(ちなみにアメリカでは、問題行動が殺処分の第1の理由となっています。日本では、飼いきれなくなって捨てるという人もいるようです)。
ですから、人がリーダーシップをとることが大切なわけです。人にとっても、犬にとっても。

4、散歩は犬のためならず

散歩は犬のために行くのではありません!
人の散歩に犬がついてくるものです。従って、先にも述べたように、散歩に出る時刻・距離・方向及び、そもそも散歩に出るか出ないかの選択も含めて、必ず人間が決めなければなりません。
犬の要求に応えて散歩に出るのではなく、人の都合に合わせて散歩に出ることです。
そうすると、飼い主は犬の散歩の義務から解放されます。義務としての散歩ではないので、それは飼い主の楽しみとなり、かえって散歩の時間も回数も増えたりもします。結果として、犬にとっても好ましい状態になるわけですね。
また、毎日同じ時間に、同じコースを行くのもお薦めできません。
同じ時間に同じコースを辿ると、それが習慣化されます。(犬は習慣の動物です)。一度、習慣化されると、その習慣が実行されない時にストレスが溜まります。
特にオスは一定のコースを回ると、そこを自分の縄張りとして意識し、毎日の見回りを欠かしたくないと思い始めます。すると見回りが実行されないとストレスに感じてしまうのです。
反対に人間主導の方式であれば、犬のストレスを軽減すると共に、散歩が犬にとって「権利」ではなく、望外の喜びとなり、非常に楽しみな行事になります。つまり、飼い主が犬に対して積極的に喜びを与えることができるようになるのです。
犬にねだられて散歩に出るのではなく、人が散歩に出たい時に「じゃあ、お前もついてくるか?」という態度が重要なのです。

5、リードは犬との心の絆

リードは犬を縛りつけるための道具ではありません。
人と犬とが、お互いに意思を通じ合うための、コミュニケーションのための道具です。

犬を繋いでおくための道具と勘違いしていると、犬に引きずられて歩くことになりかねません。
リードを通じて、犬に人の意思をはっきり伝えることができるようになれば、犬に引きずられることはありません。リードに神経が通う感覚が大事です。
そのためには、まずリーダー・ウォークをマスターしましょう。
リーダー・ウォークは、通常の犬の訓練における「ツケ又はヒールやアトヘ」とは違います。要は犬がリードを引っ張らなければいいのです。
まず、リードを緩ませた状態で歩きます。リードが張ったら、つまり犬がリードを引く状態になったら、止まるのです。歩くのをやめる。初めのうちは、臍の位置でリードを固定するといいでしょう。
大事なことは、犬がリードを引いたからといって、引っ張り返さないことです。引っ張り返すと、犬はさらに強く引きます(【リードの持ち方】参照)。この時、引きずられて飼い主が動いてしまうと、犬は強く引けば動けるという学習をしますから、次からはもっと強く引くことになります。これを繰り返すと、飼い主引きずりまわし方式が完成してしまうわけです。
ですから、引っ張り返すのではなく、とにかく動かないこと。とにかく動かないこと!
繰り返した上に強調までしました。なぜなら、文章を読んだだけ、あるいは私が口頭で説明しただけで、これができる人は少ないからです。

しばらく突っ立ったままで動かないでいると、リードが緩みます。これは必ず緩むのです。ですから、リードが緩むのを辛抱強く待ってください。そしたら、歩き始めます。つまり「リードが緩んだら歩ける。リードが張ったままだと歩けない」ことを犬にシッカリ覚えてもらうのです。
最初は止まってばかりで「これでは散歩にならない」と思うでしょうが、それでいいのです。せいぜい50メートル歩くのに30分以上かかったケースもあります。
しかし、だんだん歩けるようになってきます。つまりリードが緩んでいる時間が伸びてくるのです。最初は1秒しか緩んだ時間がなくても、これが2秒4秒8秒16秒と倍々に伸びてゆきます。ついにはずっと緩んだ状態になります。
すると、飼い主は自在に歩けるようになるのです。つまり、飼い主が右に回るとリードが張ります。犬は「これでは歩けない」と思うので、リードが緩む方向へと足を踏み出しますね。左へ行くのも同様、回れ右も同様。
飼い主は自分の思う方向に、思った通りに歩けるので、散歩が楽しくなります。それゆえ、散歩の時間も回数も増える傾向となり、結果として犬にとっても好ましい状態になるわけです。
リードが緩んだ状態。
リードは緩んでますが、この持ち方はダメ。【リードの持ち方】参照

6、まずは実践、後から言葉

犬はあらかじめ、人の言葉を知っているわけではありません。 
生後3か月の人間の赤ちゃんに 「スワレ」と言ったら座りますか? 泣いている赤ちゃんに「黙れ!」と言いますか? しかし犬には、そいういうことを平気で要求していませんか?
犬にいきなり言葉を覚えろと言っても、それは無理な話。とは言え、犬は驚異的な速さで人の言葉を覚えます。ですから、犬の論理にのっとった仕方で、確実に言葉を教えてゆく必要があるのです。

犬の論理は常に実践と結びついています。吠えている犬に「ダメ!」と言っても吠えやまなければ、それは往々にして「飼い主がダメダメと吠えているから一緒に吠えよう」と考えているか、あるいは飼い主の思惑とは逆に「ダメ!」が「吠えろ」の合図になっているのでしょう。

合図とはこういうことです。犬が座った時に「スワレ」と言う、これを繰り返すと犬はオスワリを覚えますね。では、犬が座った時に「お手」と言ったらどうなるか? これを繰り返せば「お手」と言ったらオスワリをする犬になるでしょう? では、吠えるたびに「ダメ!」とか「うるさい!」と言い続けたらどうなりますか? 「ダメ!」「うるさい!」と言うたびに吠える犬になる。「ダメ!」「うるさい!」が「吠えろ」の合図になってしまうのです。これが犬の論理です。

まずは犬の行動・実践があり、その行動・実践に対して、それに見合った言葉・名前・コマンド・符牒を与えてゆくことが基本です。
はじめに犬に行動を起こさせ、それに対して言葉を付けましょう。例えば、スワレを教えたいなら、まず犬を座らせる。その座る行動に「スワレ」や「オスワリ」などの名前を付けてゆくのです。まず行動させ、その行動に対して名前=符牒をつけるのです。

その際、犬に失敗をさせてはいけません必ず成功させること!
どいういうことかというと「スワレ」と言っても坐らない状況とか、「コイ」と言ってもこない状況を何度も繰り返すと、それは「スワレ」や「コイ」を教えているのではなく、「スワレと言っても坐らない」「コイと言っても来ない」事を教えているのに他ならないからです。

坐らせる時は、例えば、フードを親指と中指でつまんで人差し指を立てながら、犬の鼻先から上へ上げてやると、犬は自動的にフードを見上げる形になりストンと腰をおろします。その瞬間に「スワレ」と言うのです。これの繰り返しの中で、犬は「スワレ」を覚えます。
このやり方をすると、「スワレ」のコマンドなしでも人差し指を立てるだけでも座るようになります。

「コイ」の時は、フードやおもちゃを使って、自分のところに必ず来る状態をあらかじめ作ってやって、失敗のないようにします。そして「コイ」と言われて飼い主のところに行くと必ずいいことが待っているということを犬に覚えてもらうのです。
犬は自分にとって嬉しいことや好ましいことが起こると、すぐに覚えてしまうものです。
その他具体的な手順は、オペラント技法を紹介している本や指導者を選びましょう。
家庭犬に強制訓練技法は向きません。オペラント技法を使いましょう。

7、フードは獲物だ、飼い主の

ドッグフードは、飼い主(アルファ個体・リーダー・ボス)が、狩猟(仕事)に出かけて、狩ってきた(買ってきた)獲物です
ですから、狩猟に参加していない犬には、それを無条件で要求する権利はありません。
飼い主の指示に従い、坐り、あるいは伏せて待ち、人に「食べてよし」と言われてから、ようやく食べることができるものです。まして、盗み食いなどは論外です。

また、人が食べているテーブルから、人の食べ物を犬に与えるのも止めましょう。犬の腎臓は人間ほど強くありませんから、味付けされた食べ物は犬の体に負担をかけます。欲しそうにしているから与えるという癖をつけると、犬は貰えるのが当然だと思うようになります。
そこで、当然貰えるはずのものが貰えないということになると、貰えないことがストレスになり、さらにはテーブルの上にある食べ物を勝手に取るところまでエスカレートしてしまいます。
 「欲しそうにしている」というのは、人の側の勝手な思い込みで、実際には「おいしそうだな」と思いながらも、ただ見ているだけということも多いのです。それが、1度やってしまうと、「次も貰える」といらぬ期待を抱かせてしまう。それでは却って犬が可哀そうです。

すでに与えてしまっている、という人は、今日から直ちに止めましょう。一旦は犬の要求が激しくなりますが、やがてあきらめ、落ち着くようになります。それまでは飼い主が我慢して頑張ってください。
最悪なのは、犬の要求が激しいからといって、再び与えてしまうことです。そうすると、もう一度与えないことに再挑戦した時に、犬の要求はさらに激しさを増してしまいます。
飼い主の我慢と頑張りが大切なのです。
そのようにしつけておけば、ドッグ・カフェでも落ち着いて食事ができます。
ドッグ・カフェで。
欲しがりもせず、静かに待っています。

8、犬は犬で、人ではない

犬には犬の本能があります。それを正しく理解し、むやみに擬人化せずに接するようにしましょう。犬に民主主義は通用しません。犬は人と対等に付き合うことなど望んでいないのです。
犬は権勢本能(自分が相手より優位に立ちたい)と共に、服従本能(信頼できるアルファ個体・リーダー・ボスのもとで安心して暮らしたい)をも備えています。この服従本能を満足させてあげましょう。犬が人間社会で暮らす以上、人をアルファ個体・リーダー・ボスとして尊敬し、人の指示のもとで暮らすことこそが、犬のストレスを軽減し、健やかで安らかな生活を保障してあげられるのです。

犬は「群れる」動物であると共に、「習慣性」を持った動物です。一度ついた癖はなかなか抜けません。ですから、良い癖をつけ、悪い癖はつけないことが非常に大切です。
良い癖をつけるためには、何回も何回も繰り返すこと。そして失敗させない、必ず成功させること。
悪い癖をつけないためには、1度もやらせないことです。1度は無理でも2度とはやらせないこと。 
そのためには、特に初期段階では犬を完全に人の目の届くところに 居させ、サークル・ケージ・首輪とリードなどを用いて、犬の「自由」=わがままな行動をさせないことです。実は、これが後々、犬にとっての本当の自由につながってゆくのです。
人も同じですが、自由には責任と義務が伴います。犬が問題行動を起こさずに、人との暮らしのルールを覚えるにつれて、少しずつ自由の範囲を広げていってください。
最悪なのが、最初は犬にわがまま勝手にさせ放題にしておきながら、後から人が耐え切れなくなった段階で、犬の自由を奪ってゆくという(実はよくありがちな)やり方なのです。それでは犬があまりにも、可哀そうです。
犬は人とは違う動物です。「話せば分かる」というものではありません。

9、犬も、所詮は人間だ

とは言え、犬も所詮は人間です。
犬にも人と同じように、辛い・悲しい・楽しい・嬉しい・悔しいと思う気持ちがあり、嫉妬や怒りなどの様々な感情があります。犬は機械ではありません。犬も人と同じく感情を持つ動物なのです。 

犬に対してかける言葉はコマンド(命令語)ばかりというのでは、少し寂しいものがあります。
時には愛犬を目の前に座らせて、胸襟を開き、自分の思うところをたっぷりと話して聞かせるのもいいでしょう。じっと聞き耳を立て、あなたの声に耳を傾けてくれるでしょう。どこまで理解できるかはともかく、あなたの愛情の深さは理解してくれるはずです。
犬も「話せば分かる」のです。

但し、初めのうちは、コマンド(命令語)を覚えさせることに専念しましょう。その際、複雑な言葉は避ける方が賢明です。例えば、座る行動に対して「スワレ」「オスワリ」「坐れっちゅうとんのじゃ!」など、複数の言葉を使うと犬が混乱しますから。

10、愛と信頼、お散歩道

愛とは、単に可愛がることではありません。理解するこです。犬の全般的な生態を理解し、個々の犬の個性を理解することによって、犬の言わんとするところが分かってきます。すると、おのずから犬に対する対応の仕方が決まってきます。
信頼とは信じて見守ることです。自分の犬を信じて、正しい対応を続けていれば、犬は必ずそれに応えてくれます。アホな犬・バカな犬はいません!
「うちの犬は所詮、こんなもんや」という飼い主のあきらめが壁を作ってしまうのです。犬の持つ本来的な能力は、ほとんどの飼い主の想像を超えています。
また、犬に対する尊敬と感謝の念も忘れないでほしいと思います。生活の潤い、心の支え、ものの考え方や季節の感じ方など様々な恩恵を、私たちは犬から受け取っています。
「コイ」と言ったら来るのが当たり前になってしまってからでも、初めて「コイと言ったら来た!」時の感動を忘れずに、常に犬に感謝しながら暮らしてほしい、暮らしていきたいと思います。
犬を愛し、信頼して、日々の暮らしを充実させていこうではないですか!
誰かが言ったように、犬は『尻尾のある天使』であり、人の愛と信頼に100%応えてくれる、素晴らしい生き物なんですから。
お問い合わせ
Go to Top