しつけと訓練

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しつけと訓練?

一般に、しつけ初歩的なもので、訓練はその上に成り立つ高度なものと考えられているように思いますが、いかがでしょうか?
ところが、しつけと訓練は全く違うものなのです。

しつけと訓練との違い

訓練とは、命令語(コマンド)に対して犬がその通りに動くようにするものです。
「スワレ」と言えば座る。「ツケ」と言われれば脚側歩行(人の隣について歩くこと)をするという具合にです。
例えば、来客時に犬が来客用のソファに座っていたとします。よく訓練された犬であれば「降りろ」と言われたら、すぐに降ります
では、よくしつけられた犬であれば? 初めから来客用のソファには乗らない(!)です。
おわかりでしょうか?

訓練は命令に服従して、確実にその行動を起こさせることに主眼がおかれます。
しつけは、飼い主の思惑に即して自主的に行動させることに主眼が置かれるのです。
訓練は作業犬向き、しつけは家庭犬向き、と言ってもよいでしょう。
そもそも、作業犬と家庭犬とは、大分違うのです。「違う動物だ」という人もいるくらいですから。

お散歩道は、しつけがメインです。とはいうものの、しつけと訓練は、重なり合うところがあるのも事実です。(下図参照)


 
 従って、お散歩道でも、定義上訓練に属する内容のものも含みます。ただ、犬の自主的行動に主眼を置くという基本は変わりません。
では、その場合のやり方とはどんなものでしょうか?

強制訓練技法とオペラント行動技法

作業犬であれば、強制訓練技法は有効だと思います。
ですが、家庭犬に強制訓練技法は向かないと私は思っています。
そもそも強制訓練技法は、高度の技術を必要とするため、ベテランの訓練士さんでなければ、難しくて一般の愛犬家の方がおいそれと真似できる方法ではありません。
オペラント技法は、一般の愛犬家の方でも、原理を理解しさえすれば、使いこなすことが可能です。

強制訓練技法では、例えばオスワリを教える時に、犬の腰やお尻を強く押さえて、その姿勢がオスワリであることを犬に教えます。この方法の長所は、座る姿勢が美しく決まる点にあります。(ベテラン訓練士さんに訓練された犬の動きは、実にキビキビしていて美しいものがあります)。

オペラント技法では、フードやおもちゃなど、犬が興味を持つものを使っておこないます。
例えばオスワリを教える時には、フードを親指と中指でつまみ、人差し指は立てたまま、フードを持った手を犬の頭の上、やや後方に持ち上げてやります。すると、犬はフードを目で追ううちに自然にストンと腰を落としますから、そこですかさず「スワレ」とか「オスワリ」などと声をかけるのです。この繰り返しの中で、犬はオスワリを覚えてゆきます。
やがて人差し指を立てるだけで、オスワリをするようになります。
犬の自主的な行動を誘発する形でおこなわれるため、無理がなく、人も犬も楽しい気分で練習ができるのです。

その際のフードやおやつの与え方

但し、毎回毎回フードやおやつを与えてはいけません
最初のうちは、毎回与えてもかまいません。徐々に与える回数を減らしてゆくのです。1度目の練習では、毎回与える⇒2度目の練習では、3回のうち2回⇒次には、2回のうち1回⇒その次は3回に1回⇒いずれは、10回に1回⇒そのうちには、100回に1回、というふうに。但し、与える時も与えない時も、褒めることは忘れないように!
もう少し緻密に言うと、2回に1回の時に「一回やって次はやらない」の繰り返しはやめましょう。「2回続けてやって、1回やらない。1回やって2回やらない」などのようにバリエーションをつけましょう。勘のいい子にはバレてしまうことがあるからです。

このやり方がなぜ大切かというと、1つには毎回毎回フードをやっていると、それがクセになる=習慣になる=犬の権利になる、からです。物質的見返りなしには動かない犬になる可能性が大きいのです。
2つには、毎回与えるよりも効果が高いからです。犬の側から見てみましょう。毎回毎回貰えるよりも「次は貰えるか、次こそ貰えるに違いない、今度こそ!」という期待感が高まるのです。期待感が高い方が効果的なのはお分かりでしょう。

しつけは、日本的概念

「しつけ」というのは、実は日本的概念だと私は思っています。
というのも、手元の和英辞書で「しつけ」の項を見ると「training」と出てきます。そこで英和辞書で「training」を引くと今度は「訓練」になります。
これは「訓練」に相当する英語はあるが、「しつけ」に相当する英語はない(近似的にトレーニングという言葉はある)ということなのではないでしょうか。
欧米では、子供は不完全な大人と考えられ、ゆえに子供にトレーニングを施す、という話を聞いたことがあります。しかし、日本では子供を訓練するという言い方はあまり一般的ではありません。
(これは日本では、「子供は不完全な大人」ではなく「子供は子供」=「子供には子供の世界がある」という考えに由来すると思われます)。
ですから、しつけ=躾という概念・考え方は、どうも日本的なものではないかと思うのです。
このことは、犬の育て方・しつけ方においても、日本的な方法・概念があるということを指し示しているのではないでしょうか。
欧米型訓練の直輸入ではない、日本人の生活・習慣・心情に見合った犬のしつけ方を目指す必要があると思います。
そこで私は、家庭犬訓練士・ドッグトレーニングインストラクターという肩書を捨てて、あえて怪しげな(?)「お散歩道」家元を名乗っているわけです。
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